幻想的なヴィジュアルが広がるジャケット・デザイン。商品としての音楽は、何の知識もなければ、視覚的な要素が購買意欲をそそるものだと思う。スコットランド出身のマイク・サンディソンとマーカス・イオンの二人によるユニットBoards of Canada。1980年代後半から活動を開始した彼らは、96年の契約後、Autechreと並んでWarpレーベルのアブストラクト〜エレクトロニカの旗手として名を知られる。 しっかりしたビートと流麗かつ浮遊感溢れるメロディラインの構成は、気高ささえ感じてしまう。楽曲数の多さに反比例するかのように、アルバムのトータリティは極めて高く、なおかつリズムは万華鏡のように千変万化する。当然のごとくアナログで買ってしまったが、これはCDでだらだら聴く方が遙かに気持ちよいかも知れない。
DJ KeNsEiを中心とし、CHARI CHARIの井上薫、GoRo等が参加したユニットFinalDrop。リズムトラックをKeNsEiが制作し、井上薫がギター&ベース、GoRoがディジリドゥやカリンバを加える。CHARI CHARIがデトロイトテクノ的な電子サウンドに傾倒し、GoRo企画のbanana connectionはエスニックでトライバルなサウンドへ偏るなか、本作は非日常の屋久島の自然音とGoRoのディジリドゥと電子音のバランスが絶妙。
Chris VogadoとNeil CombstockによるユニットzerodB(ゼロ・デシベルともゼロ・ディー・ビーとも呼ばれる)待望のファーストアルバム。2000年に結成されたzerodBは、自ら主催するレーベルから12インチをリリースし、その後「ubiquity」や「compost」、「far out」、「schema」からリリースを重ね、遂によりオリジナル1stアルバムをリリースする。「ラテン/ジャズ系ダンスミュージック」と呼ばれるそのサウンドは、アシッドな音響に駆け巡るパーカッシヴなリズム、そしてその背後にうごめくブリブリと地響きを立てるベース音。アルバム・タイトルは、象徴的にそのサウンドをあらわしている。 同時期にリリースされたKoopの2ndとは好対照だ。ライトで洒落たサウンドという表面的なものを装いながら、襲いかかる音質の重み。万人受けはしないだろうし、いつでもどこでもマッチするようなものでもない。ただ、ここには低音への限りない憧れを感じさせる。この音圧は、身体で感じるべきなのだろう。
Prefuse 73ことGuillermo Scott Herrenによる別名義プロジェクト、Piano Overlord。その1st、2ndシングルに未発表曲を収録したものが本作。ピアノ(主にフェンダーローズ)をモチーフにしたメランコリックなブレイク・ビーツは、徹底して抑圧された感覚に貫かれている。驚くべきなのは、むしろその多産ぶりかもしれない。沸き上がる感情を微塵にもかんじさせないサウンドだが、内ジャケのメンバー紹介が、ハードロック仕様の諧謔に満ちているのも一興。ピアノ好きにはたまらない。
テイ・トウワの別プロジェクト、SWEET ROBOTS AGAINST THE MACHINE。本作のアルバム名とアーティスト名がトートロジカルなことはさておき、曲調は非常にポップで、音の鳴り方はELECTRONICA、2STEPなどクラブ仕様、テーマは「JOURNEY」、色々な国々のサウンド・テイストが折り込まれている。他力本願だがTIKUS(mouse on marsと共同プロデュース)、THE END OF A LOVE AFFAIR(atomにおまかせ)が佳曲。初期テクノポップの楽しさがにじみ出る。